天国と地獄の長い箸
法話でよく聞くお話に『天国と地獄の長い箸』というお話があります。
昔、ある男が「天国と地獄とはどんな世界だろう」と閻魔大王を訪ねて行きます。
すると閻魔大王が天国と地獄の様子を見せてくれます。
天国と地獄では、ちょうど食事の時間。
とても大きな鍋をぐるりと囲んで食事をします。
食事は必ず『約１メートルもある長い箸』を使って食べなければいけません。
それは天国と地獄、共通のルールです。
それぞれ同じように十分な食べ物が用意されていますが、地獄の人たちは、痩せてイライラした印象なのに対して、天国の人たちは幸せに満ちた顔をしています。
なぜでしょうか・・・
まず、地獄の人たちが長い箸を使って食事を始めました。
しかし、何度やってもこぼれてうまく口に運ぶことができません。
その内、長い箸が隣の人に当たってしまってケンカになることも…
どんなに十分なご馳走が目の前に用意されていても食べることが出来ず、常に飢えに苦しみ争いごとが絶えない世界でした。
いっぽう天国の人たちは、大きな鍋を挟んだ向い側にいる人へ長い箸を使って「どうぞ」と口に運んであげています。
『あなたからどうぞ』と自然にふるまえる人たちが集まる天国は、たくさん美味しいものを食べ、飢えも争いもない幸せな世界でした。
＊『自分のことばかり考える人』と『相手のことを考えられる人』
やはり後者になれるよう、日頃から思いやりをもって過ごして行きたいですね。
