火葬場からの帰り道、行きの道と変えるのはなぜ?
お葬式で火葬場まで行ったことがある方なら、気づいているかも知れません。
火葬場へ行く道と火葬を終えたあとの帰り道が違っていること…
この行きと帰りの道を変える慣習は、もともと土葬が行われていた時代の「お墓からの帰り道」の名残りといえます。
土葬が行われていた時代は、家族で棺を抱えお墓に向い、土葬を終えたあとは行きとは違う道を使って真っ直ぐ家に帰ることを避けていました。
これは、亡くなった人に帰り道をわからなくさせ、霊が戻って来ないようにとしていたものです。
帰り道をわからなくさせることは残酷なようですが、言い換えれば「安らかに成仏して下さい」との思いが込められています。
同じような意味でこの他にも、
*「出棺の時に棺をくるくる回す」
亡くなった人の方向感覚を無くし、家に戻って来られないようにする。
*「故人様愛用の茶碗を割る」
この世にはもう帰る場所がないことを表している。
など、地方によってさまざまな慣習があるようです。
現在は、火葬が終わるとお骨は家族と一緒に家に帰ります。
結局のところ故人の霊は家に戻っていますので、この慣習は最近では気にされなくなっています。 安らかに成仏できるようにとの願いから生まれた『おまじない』のようなものだったのですね。